鍼灸

●鍼施術の特徴

鍼施術は、東洋医学のもと古くから行われる施術方法で、身体に360以上存在する「ツボ（経穴）」や筋肉を刺激することで、症状を改善へと導く手法とされています。

●鍼施術の仕組み

鍼施術によって症状を改善へと導く仕組みは、身体の自己修復能力を高めることと関りがあるといわれます。
皮膚に直接鍼を刺すことで表面に小さな傷をつくり、その傷を改善するために自己修復能力が高まります。
その結果、鎮痛効果や血行促進効果が得られるため、患部の痛みや不調を取り除くことが期待できます。

●鍼施術で使用する鍼

鍼施術ではさまざまな種類の鍼が使用され、太さ・材質・長さなどが異なります。
多くの鍼施術で使用される鍼は、「ディスポーサブル鍼」と呼ばれるステンレス鍼で、使い捨てのため非常に衛生的です。

このほかにも、金や銀などの鍼を使用することがありますが、患者様ごとに新しい鍼を使用するため感染症の心配はありません。

また、小児鍼では鍼先が尖っていない「刺さない鍼」を使用することもあります。
その場合、皮膚に刺す施術ではなく、皮膚の上で転がす・撫でるように刺激し反応を得るといわれています。

●衛生管理

鍼施術で使用する道具（鍼・枕・ベッド・抜いた鍼を入れる皿など）は毎回消毒し、感染症の対策を万全に行っています。
そのため、非常に衛生面を考慮した施術であるといえるのではないでしょうか。

●電気を使用した鍼施術

鍼施術のなかには、刺した鍼に電極を取り付け電気刺激を与える「パルス鍼」があります。
神経痛や筋肉の緊張を緩和する際に行われることが多く、通常の鍼刺激よりも高い効果が期待できるといわれます。

施術に使用される鍼は髪の毛ほどの細さしかなく、刺鍼（鍼を刺す行為）による痛みはほとんどありません。

灸施術は、鍼施術と同様に東洋医学に基づく手法で、ツボや筋肉に温熱作用を与えることで、症状を改善へと導く施術です。
灸施術には、灸を皮膚の上で直接燃焼させる「直接灸」と、皮膚から離れた場所で灸を燃焼する「間接灸」という手法があります。

●直接灸

直接灸は、皮膚の上で直接艾（もぐさ）を燃焼し、温熱作用を与えることが特徴です。
症状が現れている部位で艾を燃焼させ、適度な刺激量での施術を数回繰り返し行います。

艾の量で皮膚に感じる熱さは変わり、艾が大きくなるほど熱量も増えます。
術者が刺激量を調節しながら施術を行うため、火傷はほとんど起こらないといわれています。
患者様が熱いと感じるタイミングで艾を除去するため、熱すぎるといったこともなく、安心して施術を受けることが可能です。

●間接灸

間接灸は艾を皮膚の上で直接燃焼せず、皮膚から離れた場所で燃焼させることが特徴です。
間接灸には、隔物灸、棒灸、灸頭鍼、円筒灸などの種類があります。

「隔物灸」という方法では、艾と皮膚の間に「みそ・塩・しょうが・ビワの葉」などを挟み燃焼させていきます。
その際、挟むものによってさまざまな効果を得られるといわれています。

「棒灸」や「灸頭鍼」という方法は、間接灸の代表的な施術例といわれています。
棒灸は棒状に包んだ艾を燃焼させ、皮膚の上にかざすように動かし、温熱作用を与える手法です。
灸頭鍼は患部に鍼を刺し、鍼の持ち手に団子状に丸めた艾を取り付け燃焼することで、広範囲に温熱作用を与える手法といわれています。

また「円筒灸」という方法では、筒状の道具を使用し、線香の熱で患部を温めます。
皮膚の上にシートを敷くことで熱さを調節できるため、火傷の心配はほとんどありません。

●鍼の効果

鍼施術では、次のような効果を得られるといわれます。

・組織の修復を促す

鍼の刺激によって、身体の自己修復能力が高まり、傷ついた筋肉や軟部組織の回復を促すといわれています。
ケガの損傷部位の改善や、根本的な痛みの改善にも効果的です。
また、手技療法では届かないような身体の深い部位にアプローチできるとされるため、幅広い症状への対応が期待されます。

・血行促進効果

鍼刺激によって自己修復能力が高まると、血行促進効果が期待できます。
血行が促進されることで、筋肉の緊張緩和や痛みの緩和などさまざまな効果が望めます。
さらに、内臓機能を高める効果も期待できるため、身体の不調を取り除く目的で鍼施術を行う方も多いようです。

●灸の効果

灸施術では、次のような効果を得られるといわれています。

・自律神経系を整える

灸による温熱刺激によって副交感神経が優位となり、自律神経の働きを調整する効果が期待できます。
ストレスや疲労などを抱えている方は交感神経が興奮していることが多く、そのような状態がつづくと自律神経失調症を引き起こす可能性があります。

灸施術では、交感神経と副交感神経のバランスを調節し、自律神経を安定させてストレスや疲労の軽減を狙います。

・免疫力の向上

灸施術には、血行促進や身体の免疫を高める効果が望めるといわれます。
灸施術ではツボへの刺激を行うことが多く、身体の弱っている部位を中心に補う手法（補法）で灸をすると、免疫力を向上させることが期待できます。

免疫力を高めることで丈夫な身体づくりが可能であるとされているため、内臓疾患や風邪などの不調を感じている方にもおすすめです。

●内臓機能の向上

鍼灸施術による血行促進効果や、免疫力の向上、自律神経の調整などの働きが内臓機能を向上させるとされます。
その際、経絡（臓器ごとのツボの集まり・流れ）を刺激することで、対応する臓器の調子を整え、症状を改善へと導くことが期待できます。

・便秘や下痢
・重い生理痛や生理不順
・咳や喘息などの呼吸器疾患
・動悸や身体のほてり
・小児の夜尿症や夜泣き

上記以外にも、内臓機能の低下が原因で発生する多くの症状に対して、効果を発揮するといわれます。

●筋肉や関節の痛みの緩和

鍼や灸によって筋肉の緊張が緩和され、筋肉や関節の痛みを改善する効果が期待できます。
鍼灸施術によって血行を促進し、痛みの緩和や傷ついた組織の修復を促す効果が見込まれます。

そのため、慢性的な肩こりや腰痛などの症状の改善や、捻挫や肉離れといったケガによる痛みの改善も目指せます。

●精神的な不調の改善

仕事や家庭でのイライラ、不安といったストレスを抱えている方は多いです。
ストレスや精神的な不調が原因で起こる症状についても、鍼灸施術は高い効果を発揮するといわれます。

鍼や灸の刺激によって、自律神経の働きを整え、身体がリラックス効果が期待できます。
その結果、交感神経の興奮が収まり、身体の不調改善につながります。

不眠症や食欲不振、不定愁訴などの不調も自律神経が大きく関わっているとされるため、これらの症状でお悩みの方は一度鍼灸施術を受けてみてはいかがでしょうか。

上記の効果以外にも美顔や花粉症にも効果が期待できますので、ぜひ一度お試しください。