ヘルニア

●ヘルニアとは

ヘルニアは、椎間板にできた亀裂から髄核が突出し、神経組織を圧迫することで痛みやしびれを生じる症状です。

椎間板は一つひとつの椎骨の間にあり、中はゼリー状の髄核が入っていてクッションのような役割をしています。
この椎間板は加齢とともに水分が失われ、壊れやすくなるといわれています。

中高年になると椎間板の老化がはじまり、高齢者の方は椎間板の変性とともに、ヘルニアを発症するリスクが高まるとされています。

●ヘルニアの原因

ヘルニアの原因はおもに椎間板の老化や加齢などが関わるとされますが、日常生活での身体の使い方や動作によっては若い世代の方でもヘルニアを発症することがあるといわれています。

デスクワークで一日中座りっぱなしの方は、猫背になりやすいといわれています。
猫背になると背骨の湾曲が強くなり、椎間板にかかる負担が増えるため、ヘルニアを発症するリスクが高まると考えられています。

また、普段身体に負担がかかる動作を行う方にはヘルニアが多く、次のような動きをされている場合は特に注意が必要です。

・片肘をついてテレビをみる
・イスに座る際、脚を組む
・片側ばかりでカバンを背負う

上記のようなくせは背骨や骨盤のゆがみを起こし、ヘルニアを発症する可能性があるといわれています。

また、ヘルニアは重い荷物をもち上げたり急に身体を捻ったりという動きで発症するぎっくり腰のような腰への強い衝撃によって発生することもあります。
そのため、ヘルニアを防ぐためには、日頃から身体のくせや姿勢、動き方などに気を付けなくてはいけません。

●腰やお尻の痛み

ヘルニアでは腰やお尻、脚の痛みを生じるといわれています。
筋肉の緊張や神経の圧迫があるため、腰だけでなくお尻や下肢など広い範囲に渡って痛みを生じることが考えられます。

・前屈（前かがみ）
・後屈（身体を反る）
・身体を捻る

上記のような動作で痛みを生じ、動きによっては神経の圧迫が強まって、激しい痛みや足先まで広がる放散痛を生じることもあります。

●下肢のしびれ

神経が圧迫されるため、坐骨神経症状がみられるといわれています。
坐骨神経は、腰から足先まで広い範囲を支配する神経で、神経の圧迫により広範囲にしびれの症状がみられることがあります。

・お尻
・太もも
・すね
・足の指

特に上記の部位は、長時間同じ姿勢がつづくことでしびれが起こりやすいため、長く立ったり座ったりすることができず、常に体勢を変えるなどじっとしていられない方もいるようです。

●そのほかの症状

ヘルニアを発症すると、痛みやしびれのほかにもさまざまな症状がみられることがあります。

・筋力低下
・感覚障害
・歩行障害

ヘルニアは神経症状を生じるため、筋肉の感覚障害を起こし、力を入れにくいということや筋力低下がみられることがあるといわれています。

歩いていると神経の圧迫が強くなり、しびれで歩くことができなくなる場合もありますが、少し休憩すると圧迫が弱まり、再び歩くことが可能になるケースもあります。
この状態を繰り返すことを「間欠性跛行（かんけつせいはこう）」といい、ヘルニアや狭窄症などでこの症状がみられやすいです。

●歩行

ヘルニアの症状を改善するためには、歩くことも効果的です。
歩くときは歩幅を少し広めにとり、視線を足元に落とさず、前を向いて歩くようにしましょう。

腕を軽く振ることによって、足が前に出やすく歩きやすいといわれます。

40分ほどのウォーキングでも十分な効果が得られるため、痛みがない範囲で行うことをおすすめします。

●アイシング

ヘルニアの症状では患部に神経の炎症がみられるケースがあるため、アイシングで炎症を抑えることが有効とされています。
患部に炎症があるときはなるべく安静にし、早期にアイシングを行って症状を落ち着かせるようにしましょう。

炎症部位を温めてしまうと炎症が拡大し、症状を悪化させてしまう場合があるため、患部を温めるのは避けたほうがよいです。
また、マッサージやストレッチなどの刺激を加えることも控えましょう。

●体操

ヘルニアの症状を改善するためには、身体を動かすことも効果的といわれています。
筋肉を使うことで血行が促進され、筋肉の柔軟性を高める効果や筋力低下を防ぐ効果が期待できます。

1．壁の前で脚を肩幅に広げて立つ（両脚が並行になるように）
2．両腕を壁に向かってまっすぐ伸ばす（手を軽く握り親指を立てる）
3．手が壁に当たらないように、立つ位置を調整する
4．両腕を伸ばしたまま、口をすぼめて息を吐きながら、8秒ほどかけて膝を曲げていく
5．腰が前傾したり壁に手がついたりしないように注意しながら行う
6．身体を下ろした状態で2秒ほど静止し、息を吸ったら8秒ほどかけてゆっくり立ち上がる

上記の体操を、毎回2～3セット行うようにしてみてください。

●正しい姿勢を意識する

ヘルニアを防ぐためには、日頃から正しい姿勢で生活することが大切です。
姿勢が悪くなると背骨や骨盤にゆがみを生じ、負担がかかることでヘルニアを発症するリスクが高まるといわれています。

そのため、仕事や家事を行う際もできるだけ正しい姿勢を意識して、身体を動かすようにしましょう。

正しい姿勢は両足に均等に体重がかかり、腰が丸まらないようにおへそあたりに重心を乗せ、胸を軽く張った状態であごを少し引く姿勢といわれています。
正しい姿勢では背骨の生理的湾曲が保てるため、腰や肩などに負担がかかりづらく、痛みを起こしにくくなるといわれます。

デスクワークを行う方は座っているときの姿勢が重要であるため、骨盤がまっすぐ立つように意識しましょう。
自身で姿勢を保持できない場合、お尻の下に丸めたタオルやクッションを置き、その上に座ることで正しい姿勢を維持しやすくなります。

●正しい身体の使い方

身体を動かすときは、なるべく負担がかからないような使い方をしましょう。
立ち上がるときや、ものをもち上げるときは、腰を丸めずに膝を曲げて、脚の力を使うことをおすすめします。
腰を支点にして身体を曲げてしまうと腰に負担がかかり、ヘルニアやぎっくり腰を起こすリスクを高めてしまうため気を付けてください。

頸椎椎間板ヘルニアや腰椎椎間板ヘルニアは、交通事故や重いものをもち上げたときに発症することもありますが、ほとんどが日常での身体の使い方や姿勢の問題で起こります。

医療機関でヘルニアの診断を受けて当院に来られる方のほとんどが、デスクワークをされている方です。
また、ヘルニアと聞くと落ち込む方もいらっしゃいますが、施術でよくなる方もたくさんいます。

当院では、腰を中心に筋肉・背骨を指圧・ストレッチをして柔軟性を高めていきます。
腰周辺の筋肉・背骨の柔軟性を出すことで、血流が改善され自覚症状の緩和が期待できます。

また、鍼灸、テーピングなども併用することで、症状を早期改善へと導きます。

ヘルニアは身体の土台を整えることも重要であるため、当院では骨盤矯正、関節矯正、インソールの作成をいたします。
巻き爪・魚の目・タコがある場合は除去をし、背骨にかかるストレスを減少させて症状改善、再発防止を目指します。

日常生活での身体の使い方、姿勢の作り方、重心の置き方もアドバイスしますので、ぜひ一度ご相談ください。